インターナルマーケティングと エクスターナルマーケティングとは何か ホテル・旅館の集客と組織づくりをつなぐ、2つのマーケティング戦略

マーケティング

インターナルマーケティングと
エクスターナルマーケティングとは何か

ホテル・旅館の集客と組織づくりをつなぐ、2つのマーケティング戦略

常井 大輝(トコイ ヒロキ)

株式会社 Hospitality Bridge 代表 / ホテル・旅館コンサルタント

「集客に力を入れているのに、リピーターが増えない」「口コミが良くならない」

こういった悩みの多くは、外への発信(エクスターナルマーケティング)だけに集中して、内側(インターナルマーケティング)を後回しにしていることが原因です。この2つを理解して連動させることが、選ばれ続ける旅館をつくる鍵です。

そもそもなぜインターナルマーケティングが必要なのか----4Iという考え方

ホスピタリティビジネスには、他の業種にはない4つの特殊な性質があります。それが4Iと呼ばれる概念です。この4Iこそが、インターナルマーケティングが必要不可欠な理由を説明してくれます。

[I-1] Intangibility(無形性)

旅館のサービスは「形のない商品」です。事前に試すことができず、スタッフの対応・雰囲気・体験そのものが商品です。だからこそスタッフの質が直接、商品の質になります。

[I-2] Inconsistency(不均一性)

同じ旅館でも、担当するスタッフや日によってサービスの品質にばらつきが生じます。工場製品のように均一に製造できません。だからこそスタッフの研修・教育・モチベーション管理が重要になります。

[I-3] Inseparability(不可分性)

サービスの「生産」と「消費」が同時に起こります。料理を作るシェフとそれを食べるゲスト、フロントスタッフとチェックインするゲストは切り離せません。サービスを受ける側がいなければ、そのサービスは完結しないのです。つまり、良いサービスは提供者と受け手の両方が揃って初めて生まれます。

[I-4] Inventory(在庫の消滅性)

今夜売れなかった客室は、明日に繰り越せません。サービスは在庫として保存できない消えもの。だからこそ需要に合わせた料金設定(レベニューマネジメント)が重要になります。

4Iがインターナルマーケティングを必要とする理由

形がなく(Intangibility)、ばらつきが出やすく(Inconsistency)、スタッフとゲストが切り離せない(Inseparability)のがホスピタリティビジネスの本質です。

だからこそ、スタッフの育成・モチベーション・価値観の統一に投資するインターナルマーケティングが、他のどの業種よりも重要になるのです。

※ 4Iとホスピタリティの関係についてはこちらの記事もご覧ください:ホスピタリティとサービスの違い〜チップ制度から考える〜

2つのマーケティングとは何か

4Iを踏まえたうえで、ホテル・旅館のマーケティングを2つに整理します。

エクスターナルマーケティング(外部向け)

旅館の外側にいるお客様に向けた活動。OTA掲載・SNS発信・広告・口コミ管理・自社サイトなど。「来てもらうための活動」がこれにあたります。

インターナルマーケティング(内部向け)

旅館の内側にいるスタッフに向けた活動。研修・理念共有・ES向上・コミュニケーション改善など。「スタッフが最高のサービスを届けられるようにする活動」がこれにあたります。4Iの性質上、ここへの投資がそのまま商品の質になります。

現場で感じること:
エクスターナルだけ強化しても、スタッフが疲弊していたり、サービスが不安定だと、せっかく来てくれたお客様がリピーターになりません。インターナルなしのエクスターナルは、穴の開いたバケツに水を注ぐようなものです。

3つ目:インタラクティブマーケティング

4IのInseparability(不可分性)が示す通り、サービスはスタッフとゲストが触れ合う瞬間に完成します。その接点の質を高めるのがインタラクティブマーケティングです。

インタラクティブマーケティング(接点での体験)

チェックインの対応・お食事の提供・困りごとへの対処など、現場での一つ一つのやりとりがブランドを形成します。インターナルで育てたスタッフが、この瞬間に力を発揮します。

3つのマーケティングの連動

インターナル(スタッフを育てる)

インタラクティブ(現場で最高の体験を届ける)

エクスターナル(口コミ・リピートが生まれ、集客につながる)

エクスターナルマーケティングの具体的な施策

[1] OTA最適化

じゃらん・楽天・Booking.comなどへの掲載内容を定期的に見直す。写真・タイトル・説明文・プランの魅力を高めることで予約率が変わります。

[2] 自社サイト・直販強化

OTA手数料を下げるため、自社サイトからの予約を増やす。特典・限定プランをサイト限定にすることが有効です。

[3] SNS発信

InstagramやXなどで旅館の魅力・季節感・スタッフの顔を発信。継続的な発信が「ファン」をつくります。

[4] 口コミ管理

GoogleマップやOTAの口コミに丁寧に返信する。良い口コミへの感謝と、悪い口コミへの誠実な対応が信頼を生みます。

[5] インバウンド対応

海外OTAへの掲載・多言語対応・外国人向けプランの整備。インバウンド需要を取り込む準備が収益の安定につながります。

インターナルマーケティングの具体的な施策

[1] 旅館の理念・ビジョンの共有

「この旅館は何のためにあるのか」をスタッフ全員が理解していることが、自発的なサービスの出発点です。

[2] 定期的な研修・勉強会

接客スキル・インバウンド対応・料金知識など、スタッフのレベルアップを継続的に支援します。Inconsistency(不均一性)を減らすための取り組みです。

[3] ES向上の取り組み

1on1面談・感謝の言葉・意見を反映する仕組みなど。スタッフが「ここで働いてよかった」と思える環境が、Intangibility(無形性)の質を高めます。

[4] ゲスト情報のスタッフへの共有

口コミや感謝の声をスタッフにフィードバックする。「自分たちのサービスがゲストに届いている」という実感がモチベーションになります。

まとめ:内と外を同時に強くする

4Iが示す通り、ホスピタリティビジネスは形がなく、ばらつきが出やすく、スタッフとゲストが切り離せません。だからこそインターナルマーケティングへの投資が、そのまま商品の質になります。

内と外の両方を同時に強くすることが、長期的に選ばれ続ける旅館をつくる唯一の方法です。

まとめ:
・4I(無形性・不均一性・不可分性・在庫の消滅性)がインターナルマーケティングを必要とする理由
・エクスターナルは「来てもらう」ための活動
・インターナルは「スタッフが最高の体験を届けられるようにする」活動
・インタラクティブは「現場の接点でブランドをつくる」活動
・3つを連動させることで、リピーターと口コミが自然に増える

「うちの旅館、どこから手をつければいい?」

内部・外部マーケティングの現状診断と改善策をご提案します。
まずはお気軽にご相談ください。

無料相談はこちら

常井 大輝(トコイ ヒロキ)|株式会社 Hospitality Bridge

セントラルフロリダ大学ホスピタリティマネジメント学部卒業。国内外のホテル・旅館での収益改善・マーケティング・人材育成の実務経験をもとに、中小宿泊施設の経営をトータルで支援。2023年11月創業。

https://hospitalitybridgeconsulting.com/

PageTop